さて、北陸本線金沢以東も残り1ヶ月となった。今日が惜別撮影となる。気を引き締めて臨みたい。
水橋~東富山の定番撮影地の訪問を考えたが、体力的な問題、時間的な問題、それに万が一雪に閉ざされていたら…というリスク、さらには編成写真連発の単調さ、「叙情的」の裏テーマなどをもろもろ併せ考え、水橋もしくは東滑川の駅で本気のホーム撮りを試みることに決めた。


0634富山 クモハ413-5

スタートが駅撮りなので、移動時間の分だけ出発時間は少し遅め。水橋のホームは確か長くて、十分に望遠構図でホーム撮りが出来ると読んでいた。下車すると記憶の通り、ホームは東側に長々と続いており、舞台としては十分である。


■撮影リスト
・524M(A07)
・526M(A25+A10)
・427M(A26+A19)
・536M(A19+A26)
ほか、413系など


ホーム撮りにもやり方がいろいろとある。まず対面式ホームには4箇所の端部があり、上り・下り列車それぞれについて4箇所それぞれで全く異なる絵が得られる。すべてやれば8アングルな訳だ。何が何連で来るのか、厳密に計算しておく必要がある。どのような絵が撮りたいかを事前に考えた上で戦略を作るのは、今までの鉄道写真よりも複雑で、なかなか面白い。

まずは524M。はじめ6連と思い込んでいたが、到着10分前に今日が土曜日であることを知る。今日は3連じゃないか。そして来るのが青で、しかも魚津方がシールドビーム化されているA07編成の予定である。上りホームの滑川方の端部にて、正面打ちで仕留め、振り返り乗降客の模様を撮る。今思えば、上りホームの富山方でヘッドライトと乗降客の模様を撮ってもよかったが、停止位置がホームの富山方に著しく偏っているので、これでよかったか。3連と把握している乗客たちは跨線橋の中で列車を待っていて、そこから一斉に乗り込んでいった。

526Mは白の6連。これも同様の位置で撮影。6連なので524Mよりも最後尾の位置が60mほど手前に近付く。6連になり雰囲気が変わるので、これもまた面白い。急行型の四角の窓がダーーッと並ぶ様を望遠で切り取るのも面白い。雪が降りしきる中、ホームでは傘を差した客が並んでいた。いかにも北陸本線の朝である。

続く427Mは、下りホームの富山方から。まず白のA26を正面打ちし、振り返って国鉄色A19の側面と乗降客を狙う。下り列車であること、また土曜であることも相俟って、客の乗り降りは殆どなかった。なぜだか分からないが、今日は乗務員が3~4人ずつ乗車している。何かの研修なのだろうか。

そして427Mの折り返しは、やはり526Mと同じ所から撮影。国鉄色の正面打ちを、バシっと決めた。終わってみれば本命の列車では似通ったアングルが続いたが、これで良かっただろう。時間が昼に近付いているので、客数はまばらになり、年齢層も高くなるのが印象的である。じっと同じ場所で観察し続けていないと分からなかったことかもしれない。

トワイライトエクスプレスは何やら青森駅で抑止だとか。先日の矢立峠のトラブルといい、最近の秋田・青森支社は何をやってんだ。雪をナメてるのか。小牛田機関区があけぼのの陸羽東線迂回を担ったときは、特急であるあけぼのの前にラッセルを走らせるのが当たり前だったと聞くが。いくら難所の矢立峠とはいえ、除雪もろくにせずに立ち往生やら見合わせやら、それでは元も子もないだろうに。

ということで、水橋駅での撮影は終了。体力を温存できたのは大きい。


0953水橋 モハ412-9

3097レと北越3号を狙いに、移動。呉羽山で、9月訪問時とは少しアングルを変えて撮影するのが狙いである。計算ではちょうど間に合うはずなので、富山駅から山まで27分歩く事を選択した。田刈屋という、半世紀以上も昔に信号場があった場所を通過し、石坂、御廟前など9月に見た地名・バス停を見て、撮影地に着く。


■撮影リスト
・1052M・北越2号(R23)
・1053M・北越3号(K1)
・3097レ?(EF510-21牽引)


予定時刻ちょうどに到着したが、3097レが来ない。JR貨物のサイトに遅延情報は出ていないし、この列車に限ってウヤは有り得ない筈である。しかし一向に現れない。2.5km程度の徒歩の疲労も汗も引いた頃、R23編成の北越2号を後追い。その後は新幹線の試運転を眺めるなど。新幹線ヲタのデリカが在来線の後追い構図に若干入り込んでくる位置に駐車されているのが実に腹立たしいw
ふと、在来線撮影者と新幹線撮影者がわずか数メートルの近さで陣取っているのを見て、なんだか不思議な気分になる。前者が社会党、後者が自民党みたいな感じかw 呉羽山の攻防。
程なくして国鉄色・K1編成の北越3号がやって来た。他のヲタ全員が定番アングルから撮り、自分一人が正面がちのアングルにいる。「あいつら定番アングルかよ」とこっちは思い、「あの人なんであっちにいるんだろう」と向こうから思われているのだろうかw 定番アングルは9月のT13編成で十分なものを得たのでこれで良いのだ。それに、背景の法面にある木々の着雪は既に落ちているので、定番アングルではあまり絵的に美しくないと思う。先客がいるからといってその場所がベストアングルであると信用してはいけない、良い例である。ましてや閉幕1ヶ月前ということもあり、有象無象が紛れ込んでいることに間違いはないw

さて、国鉄色に太陽光は当たらず、通過3分後から晴れてきた。大半のヲタが嘆息をあげながら車で去って行った。「ここにいる皆の日頃の行いの総和がろくでもなかったからなんだよな、きっと」などと思う自分がいたw 
残った老齢の撮影者2人が「次いつごろ来ますかねぇ」と話し掛けてくる。あまりに突拍子だったので「…何がですか?」と訊くと、「あぁ、新幹線よ」と言う。なるほど、自民党議員に話し掛けられてしまったようだw「新幹線興味ないの?」「えぇ、あまり…」申し訳なさなどは微塵も感じないが、気まずさが漂う。
結局、次の主産物への移動まで時間があるのでしばらく待っていると、EF510に牽引された貨物列車がやって来た。誰も撮らないこの列車。コキはフル積載である。これが3097レなのだろうか?よくわからないが、ちょうど出発予定時刻になったので撮影地を後にし、今度は呉羽駅までの2.5kmを歩き通す。


1224呉羽 クハ520-8

呉羽駅の近くは道が複雑で、駅前の大通りに至るまでGPSと地図が手放せなかった。
この列車で石動駅まで移動し、石動~倶梨伽羅の定番撮影地などを訪れようという計画。


■撮影リスト
・1054M・北越4号(T18)
・1055M・北越5号(R23)
・1074レ(EF81 735牽引)
・8001レ
ほか、はくたか、鈍行列車など


途中吹雪になる場面もあったが、メインの列車たちは十分な条件下で撮影できた。やはり今日は気温が上がり降雪が少ないので、着雪ありの銀世界とは行かなかった。嵐の中、昨日来るべきだったのだろうか…しかし吹雪くと殆ど写らないというリスクもあるし、まあ最善であったと思おう。

途中で石動~福岡への転戦も考える。1054Mと1074レの間に、1時間半以上のブランクがあり、あまりにも暇で、吹雪も来るし、靴下は濡れて冷たいし、もう帰りたくなった。一人徒歩鉄の辛さである。しかし耐えて耐えて待った。貨物ちゃんねるいわく、1074レは81牽引でやって来ているという。高岡発なので、ほぼ定時という事だろう。予定時刻になり、遠くに見える列車接近警報機が点滅。程なくして、ローズピンクのEF81が姿を現した。高岡着発の貨物だが、なんと今日はコンテナがフルに載っていた!当然ながら長大編成とはいかなかったが、それでも十二分である。見送りながらガッツポーズが力強く3回、思わず出た。

さて、予定通りここから石動駅側へ移動し、アウトカーブの無名撮影地でトワイライトエクスプレスを仕留める計画。しかし移動中に、またも強い雷鳴。暗雲が見えてきていたので覚悟はしていたのだが、やはり峠近くなのでこの区間は怖い。南谷の集落にある家の空の駐車場に身を寄せ、避雷。しばらくは無事であるような空模様だったので、通過数分前に意を決して撮影地へ移動。幸い列車通過までの間、雷は来ず、そしてトワイライトエクスプレスは定時で力強く駆け抜けていった。
これが最後の対峙である。さらば、同世代のグリーン・トレイン。

このあと、1057MがT18でやってくる。石動~福岡で仕留めるというのが当初の計画であったが、気力体力も限界に近い。そしてついに嵐に追い付かれてしまった。小矢部自動車学校近くの跨道橋下、次いで後谷の地下横断歩道に避難。とにかく雷が怖すぎる。冬の嵐、恐るべし。その後も雨雲レーダーと睨めっこが続く。雲が切れるタイミングは本当に針の穴であったが、最適と思しきタイミングを狙い、ヘロヘロに疲れた身体に鞭打ち、命からがら何とか石動駅に滑り込んだ。


1655石動 クハ520-31

1057Mはまともな撮影は諦めることにした。ちょうどこの鈍行で行くと、高岡駅で1057Mを退避するので、ここで駅の入線とホーム撮りをすることに決めた。

列車は吹雪を連れてやって来た。列車の乗降客は予想通り殆ど居なかった。ドン臭い素人っぽい撮影者が右腕に傘をかけて列車近くで撮影するものだから、それを構図に入れぬように腐心し、少々苛立つ。後ろにも人おんねんで。しかしそんなことは言っていられない。列車に再び全意識を集中させ、最後の雄姿を見送る。日没近い夕刻、国鉄色485系は高岡駅の吹雪に悠然と消えていった。
さらば北越、さらばT18、さらば国鉄色485系。

再び同じ普通列車に乗り込み、富山まで移動。この区間も北陸本線として乗車するのは最後となる。すべての撮影地が脳裏に浮かんでくる。撮影地にさようなら。呉羽山を潜り神通川を渡る頃、ちょうど景色は青く闇に沈んでいこうとしていた。明るい車窓は、この駅間が最後となった。

富山駅では駅弁(たいのすし)やカップ酒などを購入。
待合室で待たずにホームに降りておけば、A19のホーム撮りが出来たのに、下調べに力が抜けてしまっていたので、すっかり忘れていた。馬鹿な事をしてしまったが…最後の姿を、申し訳なさ半分、感謝の気持ち半分で見送る。


1841富山 クモハ475-42

そして乗るは下り列車。475系糸魚川行、いよいよ惜別乗車。一昨日国鉄色に乗った時と同じ、471Mである。今日はホームでちょこまかするのはやめて、大人しくボックスでの旅を楽しむ事にした。

ひと駅ひと駅列車は行き過ぎてゆく。すべてにさようなら。特に幾度となく訪れた東滑川駅付近は名残惜しかった。
魚津に着き長停に入った所で、ボックスシートでの夕食。車窓の外では撮影者が動き回っている。撮りに行っても良いのだが、今日は余裕をもって車内の雰囲気を落ち着いて楽しむことに専念。たいのすし、美味。立山の特別醸造も美味。

入善駅。チューリップの街である。ここの撮影地はついぞ来なかった。この駅で475系と久々に再会してから、もう9ヶ月も経ったか。しみじみとしている間にも列車は淡々と東へひた走る。誕生から今年で丸50年となる475系。半世紀の重みなど、自分が半世紀生きてみないと分からないだろうが、その最後の一瞬だけでも時間を共に出来たこと、その半世紀を偲ぶに足る幾つもの場面に立ち会えたことを、ただただ嬉しく思うばかりである。車窓に霙が舞う中、列車は泊駅を出発。
かなりの高速走行をしているのだが、横揺れが小さい。重心が低い感じの安定感に、モーター音も心地良さを加えてくれる。安心して身を委ねられるのは、さすがは急行型といったところか。先日も思ったが、最近は特急ですらフワフワして頼りない。少しどうにかならないものか。いずれにせよ、音に関しては何をどうあがいても古いものの勝ちであろう。

列車はあっという間に越中越後の国境を越える。さらば富山。越中宮崎~市振。この撮影地も来なかった。糸魚川、直江津方まで475系がバンバン走っている時代に来られれば良かったのだが、たらればを言っても何も始まらない。
市振駅付近でいったんトイレに行き、その帰りに無人の2号車の様子をスマホで撮影。
親不知を発車。難所を思う。子不知の海岸をいつか歩きたいと思っているので、その際にまた再訪したいところである。いよいよ青海に到着、475系の旅もあと1駅。冷静な感想は、この車両は純粋に速いな、というところ。名残惜しさより、茶色のモケットを何度も指で撫でる。気付けば列車は糸魚川駅に滑り込んだ。あまりにあっさりとした、最後の駅間であった。

下車。鋼鉄の顔の横側をポンポンと2回触る。触れられるのもこれで最後。留置線への回送までの間、ホーム撮り。車内灯が落ち、列車はぬるぬると滑り出した。さよなら…
しばらく尾灯を眺めながら呆然と立ち尽くしていると、また寂しさが込み上げてきた。すると、パッと明りが2つ点り、糸魚川の駅の東側が明るく照らされた。留置線への入換で、475系の富山方のライトが点いたのだ。改めてみると、実に強力な光である。その眩しい明りはこちらに近付きながら左側へと逸れ、ふっと消えた。折角なのでホーム端まで行って、留置線で眠りに就いた475系(富山方は青のA07)を眺め、撮影し、最期の別れを告げた。


さらば、北陸路の名優。いつの日かまたその白熱灯の大きな瞳に、明りの煌々と点らんことを。


2032糸魚川 クハ412-10

普通列車は特急の遅延の影響を受け、8分ほど遅れて出発。北陸本線金沢以東の廃止はどうにもショックで、475系ももう見れないと思い、放心状態に陥ったようである。デッドセクションを通過。その後、一気に緊張が解けたのか、梶屋敷あたりからは眠ったり起きたりの繰り返しであった。

直江津に到着。駅中のNEWDAYSが目の前で閉まったw 2130閉店とは思わなんだ。駅前の寂れようにもただ驚く。新津より酷いかもしれない。コンビニまで5分ほど歩き、翌朝・昼の食糧等を調達。


2155直江津 モハ485-3056

高田まで2駅、快速くびき野6号新井行に乗車。R編成も惜別乗車だろうか。

ホテルは高田駅から徒歩3分ほどのシティホテル仲町。「シティホテルとしてリニューアルしました」というHPの文言が少し引っ掛かっていたが、5400円とこの界隈ではかなり安価だったので宿泊を決定。案の定、ラブホのリニューアルだったw 色々と突っ込みどころがあり、話のネタとしても充分面白かったが、部屋は基本的に問題なく快適であった。ダブルベッドの面積の3分の1くらいにおさまりながら、1時くらいに眠りに就いた。

後から思えば、悲しいバレンタインデーであったw


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